ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第68弾!!一度観たら忘れられない“トラウマ特撮映画”

 

 

 

  「吸血鬼ゴケミドロ」——。タイトルを見て、多くの方は“キワモノ映画”だと想像されるだろう。だが、本作は多くの人たちの脳裏に「子どものころに観て本当に怖かった映画」として深く刻まれている、「マタンゴ」と並ぶ昭和モダン・ホラーの名作なのだ。かのクエンティン・タランティーノも本作の大ファンを公言。「キル・ビル Vol.1」の主人公が、日本へやって来るときに乗っているミニチュアにしか見えない旅客機、そして異様に赤い空は本作へのオマージュだったりもする。

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 さてこの映画、どこから語り始めればいいものか…いろいろと展開がスゴいのだ。羽田から伊丹へ向かっている小型旅客機が、逃走中の殺し屋にハイジャックされるところから物語は始まる。ところが、旅客機に謎の発光物体が異常接近! 計器は壊れ、エンジンは火を噴き、どことも知れない荒れ地に墜落。生き残った10人は救助を待つことにするが、殺し屋がCAを人質に逃げ出すと、そこには円盤がいて殺し屋に寄生生物が取りつき、吸血鬼へと変ぼう。そして生存者を次々と襲っていく…。

 

 名作パニック映画「エアポート」シリーズ全作を1本にまとめたような異常事態である。わずか十数人しか乗っていない旅客機で、殺し屋と自殺志願の爆弾男が乗り合わせるという“夢の共演”が実現。殺し屋は拳銃とライフルを、自殺志願者は時限爆弾を機内に持ち込んでいるというユルさもスゴい。きっと機内を探せば、対戦車ミサイルを持ち込んでいる人もいたに違いない。

 

 しかも、この殺し屋はダンディでカッコいいのだが、上下真っ白のスーツ。“世界一目立つ殺し屋”なのだ。殺し屋だけにとどまらず、生存者には異常に濃いキャラが揃う。主人公の副操縦士とCAは割とまともだが、誰でも自分の言いなりになると思っている悪徳政治家、その政治家に賄賂を渡して便宜を図ってもらおうとする兵器会社役員と、政治家の愛人になっているその妻、ことあるごとに周囲を不安にさせることを言って喜んでいる精神科医、「吸血鬼が血を吸うところを見たい!」なんて言ってしまう宇宙生物学者、夫をベトナム戦争で亡くしたと同情を買いながら残っていた水を化粧直しに全部使ってしまうKYなアメリカ人女性…と、他人のことなんてどうでもいいと思っている人だらけ。ここまでキャラが立っていると、次に誰が死ぬのかさっぱりわからなくなるから目が離せないのだ。

 

 設定やあらすじがこうなら、特撮だって“トンデモ映画”一直線。なかでも、子どもたちを震え上がらせたのが宇宙生物の寄生シーンだ。殺し屋の額がパックリと割れて、そこにアメーバ状の宇宙生物が入り込んでいく…。普通の映画なら、宇宙生物が入り込んだ後に割れた額は元に戻るのだが、この映画は割れっぱなし! 逆に言えば、誰でもひと目で吸血鬼と分かる都合の良さ。印象的でぶっ飛んだ特撮シーンを担当したのは、「マグマ大使」や「スペクトルマン」、「快傑ライオン丸」など、カルトな名作特撮ヒーロー作品を世に送り出したピー・プロダクション。本作の原作と企画自体、ピー・プロダクションの社長であるうしおそうじによるものなのだ(「新世紀エヴァンゲリオン」や「シン・ゴジラ」の音楽で知られる鷺巣詩郎の実父でもある)。余談だが、ゴケミドロの円盤は後に「スペクトルマン」の敵である宇宙猿人ゴリの円盤として再利用されることとなる。

 

 ここまで読んで猛烈に「ゴケミドロを観たい!」と思われた方に朗報がある。映画・チャンネルNECOでは、7ヵ月連続企画として「特撮大国日本」が始まるのだ。その第1弾のテーマは“日本の「インデペンデンス・デイ」を探せ!”。ラインナップは「吸血鬼ゴケミドロ」と、成層圏から襲ってくるクラゲ状のドゴラを、日本怪獣映画の伝統である着ぐるみを一切使わずにアニメとミニチュア操作で見せた「宇宙大怪獣ドゴラ」、日本初のカラー特撮映画として公開され、ヒトデ型宇宙人パイラ人のデザインを天才芸術家・岡本太郎が担当した「宇宙人東京に現わる」をお届けする。

 

 さて、この「吸血鬼ゴケミドロ」、84分しかないのに、世界中の事故災難を一手に引き受けたかのような展開に加え、異常に濃いキャラの生存者10人の欲望が交錯する極限状態の人間ドラマが繰り広げられるわけだが、あなたは最後に二度驚くことになる。まず、旅客機が墜落していた場所に驚く。きっと画面に向かってツッコミを入れたくなるはずだ。そして、後に公開されるホラーの名作「サンゲリア」や「デモンズ」にも通じる、思いもしない結末に驚く。それらも含めて、多くの子どもたちにショックを与えたトラウマ特撮映画の魅力なのだ。

 竹之内 円(ライター)

 

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ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第67弾!!佐藤健、神木隆之介、綾野剛…“役者が覚醒する瞬間”を目撃せよ!

 

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 1990年代に週刊少年ジャンプで連載された「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」は、累計発行部数が5000万部を超える言わずと知れた人気作。幕末に人斬り抜刀斎として恐れられた伝説の剣客・緋村剣心が、二度と人を殺さないことを誓い、新たな時代の中で生き方を模索する姿を追ったストーリーは、幕末〜明治の史実を絡めて重厚な作品世界を作り上げた。クオリティーの高い物語はアニメや宝塚版ミュージカルなどでメディアミックスされてきたが、とりわけ実写映画版3作はシリーズ合計興行収入125億円を突破する大ヒットを記録した。

 

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 マンガ原作の映画化では、“いかに役者がキャラになりきるか”が成功のカギを握るが、本作では役者陣が実に魅力的なキャラクターを作り上げている。並み居る原作ファンを納得させた“原作に忠実なキャラクター作り”は、本作の大ヒットの要因だと考えられる。

 

 正直、線が細い印象の佐藤健だが、ずば抜けた身体能力を活かし、一年にわたってみっちりと剣術を練習。ドニー・イェンに認められたアクション監督・谷垣健治の指導のもと、伝説の剣豪にふさわしいスピード感と気迫ある殺陣を披露し、演技とアクションを兼ね備えた役者として独自のポジションを築き上げた。

 

 役者として新境地を切り拓いたのは佐藤だけではない。最近、優香との結婚で話題になった青木崇高も、喧嘩上等の相楽左之助を豪快に演じ、骨太な魅力を印象づけた。ブレイク前の綾野剛は華麗な殺陣に挑み、神木隆之介は暗殺者としての闇を笑顔の下に隠し持つ瀬田宗次郎に扮して不穏なオーラを放ち、土屋太鳳は持ち前の運動能力を活かして忍びの者らしい柔軟性のある殺陣を披露した。若手のみならず、もはや異次元の存在感を放つ香川照之の強烈な悪役ぶり、最強の敵役に扮した藤原竜也の緊張感みなぎる “狂演”など、ベテラン勢のなりきりぶりも素晴らしい。

 

 佐藤、青木、綾野、神木、土屋らは、本作を機に役者として大きな飛躍を遂げた。原作のキャラクターになりきった彼らが“役者として覚醒した瞬間”に目を向ければ、本作の新たな魅力に触れることができるはずだ。

 

 役者たちを覚醒させ、その魅力や能力を最大限に引き出したのは、次々と話題作を放つ大友啓史監督。NHK局員時代に手がけた「ハゲタカ」では大森南朋の、「龍馬伝」では福山雅治の新たな一面を引き出し、新作映画「秘密 THE TOP SECRET」でも、主演の生田斗真はもちろん、脇に回った松坂桃李や岡田将生の個性を十分に活かしている。イケメン俳優を時にはイケメンとして使わず、一人の役者として輝かせる手腕は貴重なもの。今後公開が控える「ミュージアム」では小栗旬が、「3月のライオン」では神木隆之介がどんな覚醒を見せるのか、今から楽しみで仕方がない。

横森文(ライター)

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ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第66弾!!時代に抗い、過激さ、自由さを追求する 孤高にして抱腹絶倒のバラエティ番組!

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「8時だョ!全員集合」「オレたちひょうきん族」「とんねるずのみなさんのおかげです(現・おかげでした)」「ダウンタウンのごっつええ感じ」——。日本のテレビ史は、時代を、そして世の中を変える数々のバラエティ番組に彩られてきた。一方で、現在のバラエティ番組はといえば、笑いよりも情報性に重きを置く傾向にあることはご存知の通り。お笑い番組を標榜しながら、「友情・努力・勝利」といった万人受けしそうな要素をちりばめて、最終的に“感動”をもたらそうとする番組も少なくない。

 

 そんな現在において、「オレたちひょうきん族」や「とんねるずのみなさんのおかげです」を観て笑い転げた40〜50代の人たちにおすすめしたいバラエティ番組がある。放送局は、「YOUは何しに日本へ?」「世界ナゼそこに?日本人 〜知られざる波瀾万丈伝〜」「家、ついて行ってイイですか?」など、挑戦的な企画のバラエティ番組を世に問い続けているテレビ東京(ご存知の通り、深夜ドラマも絶好調だ)。そして、DVDの累計販売本数は驚異の55万本! それが、テレビ東京の深夜帯で10年以上にわたってオンエアされ、世のお笑い好きたちから熱烈な支持を集めている「ゴッドタン」だ。

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 その魅力の第一は、エッジのきいた企画の数々。例えば、今回の傑作選で放送される「西川史子にキスしてもらえ!」と「角田信朗に3ヵ所ケリを入れろ!」。アンジャッシュ・渡部が口八丁手八丁で美人女医にキスを迫り、スピードワゴン・井戸田はアホのふりをしながらプロの格闘家を蹴りつける(しかも一心不乱に)。番組初期のDVD未収録回にしてこの面白さは、ほとんど驚異的ですらある。

 

 ほかにも、「おっぱいを見せてもらえ!」「ヒドイ女サミット」など、タイトルを見た段階で既に笑ってしまいそうな企画がずらり。ゴールデンでは絶対に通らないであろう「ラディカルでくだらない企画」の数々は、テレビのバラエティが「自由で過激で時代の先端を走っていた」往時を思い出させる。

 

 魅力の第二は、アドリブと作り込んだ台本の絶妙なバランスだ。例えば、映画化もされた名物企画「キス我慢選手権」では、あの手この手で誘惑してくるセクシー女優に対し、芸人たちが如何にキスを我慢できるかを競い合う。展開を知らされていない芸人たちは女優の会話に乗り、ときにドラマティックな物語を作り上げ、ときに(いや、ほとんど…)暴走を始める。この企画における劇団ひとりの演技力たるや称賛もので、俳優として重宝されるのも納得。現在のバラエティ番組において、ここまで芸人のポテンシャルが問われる企画も珍しいだろう(故に若手芸人が思わぬ爆発力&瞬発力を見せて、「ゴッドタン」をきっかけにブレイクしている。三四郎やおかずクラブはその好例)。

 

 一方の名物企画「芸人マジ歌選手権」では、作り込まれた台本が笑いの波状攻撃を生む。今月は、芸人たちが渾身(こんしん)のオリジナルソングを披露するこの企画の’14年開催のライブ版を放送(中野サンプラザや東京国際フォーラムで行われるライブのチケットは即ソールドアウトだ)。その周到に練られた面白さ、くだらなさはもはや筆舌に尽くしがたいレベル(笑)。東京03の角田は得意のギターを片手に文字通り“マジ歌”を披露してオーディエンスの歓声を誘い、バナナマンの日村はオネエの人気キャラクター“ヒム子”に扮して「技あり〜」のひと言で会場を笑いに包み込む。劇団ひとりに至っては、シュールなコスプレを身にまといながら愛と平和の一大ミュージカルを演じきり、観ている我々はただひたすら笑うのみなのだ。

 

 そう、そこにあるのは混じりっけなしの笑いのみ。一切のエクスキューズ抜きに、出演者とスタッフが一丸となって笑いというゴールに突進する。無論、感動などという安易なゴールには着地せず、「テレビってこんなに自由で過激で面白いんだぜ!」とばかりに笑いを追い求める。平成ニッポンにおいては稀有(けう)にして、テレビのオモシロさを改めて教えてくれる「ゴッドタン」。そんな妥協なき姿勢に、むしろ私は感動を覚えてしまうのだ。

花房ハジメ(ライター)

毎月24日発売「月刊スカパー」(ぴあ刊)でコラムを連載中。

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